ィネ科植物いもち病菌ァヮ病原型菌株の野生Setaria属植物に対する病原性

摘要

ィネ科植物レ、もち病菌Pyricularia oryzae Cavara は宿主の種に対して寄生性分化が生じていると考えら れており.少なくともイネ0ひza sativa L.,ァヮ Setaria italica (L.) P. Beauv.,ャヒPanicum miliaceum L.等の6種の栽培植物から分離される菌 については各宿主への特異的な病原性から，それぞれ 宿主植物の属名を冠したpathotypeとして類別され ている（Kato et al., 2000; Tosa et al., 2004)。野生 Setaria属植物であるエノコログサ& viridis (L.) P. Beauv.およびアキノエノコログサS. faberii Herrm はァヮの近縁野生種として知られており（Dekker. 2003),これら野生Setaria属植物のいもち病菌は，ァヮに病原性を有することが報告されている（加藤，1983; Kato et al., 2000; Yamagashira et al., 2008a)。また, エノコログサ，アキノエノコログサおよびァヮのいも ち病菌は互いに遺伝的に近縁であり，他のイネ科植物 のいもち病菌とは異なる単一のグループを形成することから，ェノコログサおよびアキノエノコログサのい もち病菌はァヮ菌と同じP. oryzaeのSetaria pathotypeに類別されている(Yamagashira et al., 2008a)。一方，エノコログサ，アキノエノコログサぉ よびァヮのいもち病菌を同一のpathotypeに類別す るためには，これら3菌がァヮに加えてェノコログサ およびアキノエノコログサにも病原性を有すること. すなわち，Setaria pathotype内に宿主の種に対して 寄生性分化が生じていないことを明らかにする必要が ある。し力'しながら.Setaria pathotypeに類別され る菌のエノコログサおよびアキノエノコログサに対す る病原性については詳細な検討がこれまでほとんど行 われていない。