アレルギー疾患発症に関わるT細胞サブセット: TH1，TH2細胞だけでなくTH17，TREG細胞を含ぢ4つのT細胞の）Vランスに注目

摘要

アレルギー疾患の発症は乳児期の衛生環境により影響されることが多くの疫学調査より明らかになっている．実際，室内環境中のエンドトキシン量とアトピー感作率や花粉症梶患率との間には逆相関関係が存在する．エンドトキシンなど微生物菌体成分の主な役割は，マクロファージや抗原提示細胞からのインターロイキン12（IL－12）産生を刺激し，1型ヘルパーT（TH1）細胞を誘導し，2型ヘルパーT（TH2）細胞の発達を抑制することにある．つまり，衛生的環境において乳幼児期にアレルゲンによる刺激を受けるとナイーヴT細胞からTH2細胞が容易に発達する．しかし，20世紀後半以降，TH2細胞の異常活性化で起こるアレルギー疾患のみならず，THl細胞あるいはIL-17を産生するヘルパーT（TH17）細胞の異常活性化によって起こる自己免疫疾患も著しく増加している．非衛生的環境刺激によるTH1細胞TH17細胞の増殖抑制を示すような実験的証拠は存在しない．