循環扇を用いた送風処理が促成トマトの病害発生と生育、収量に及ぼす影響

摘要

促成トマト施設内で循環扇を用いた送風がトマト群落内の温湿度，灰色かび病，薫かび病の発生及びトマトの生育、収量に及ぼす影響を小型鉄骨ハウスで調査した。循環扇送風により群落上層に内張りのある冬季に0．5～1．3m／s，内張りのない春季に0．3～0．9m／sの風が生じた。 送風による施設内空気の均等化により，冬季の群落下層部の気温が約1℃上昇した。 送風による群落内湿度への影響は小さかったが，送風区の相物体表面の水滴巧者量は無処理区の約30％であった。 送風区における最終調査時の灰色かび病の発病複葉率は0．6％と無処理区の11．3％に対し，著しい抑制効果が認められた。 一方，葉かび病の抑制効果は認められなかった。 送風により，トマト茎長は伸長抑制され，茎径は増加する傾向が認められたが，総収量への影響は認められなかった。 以上から，促成トマト施設内の循環扇による送風は，トマト収量を減少させることなく，植物体表面の付着水滴を軽減することによって，灰色かび病の発生を抑制することが明らかとなった。