ビタミンB,生合成系遺伝子の発現が DNA修復遺伝子の欠失によつて活性化される

摘要

生体内では内因性および外因性の原因により多様な 活性酸素種が生じる.主な内因性要因としては，好気 呼吸における副産物の生成が挙げられ，一重項酸素. 過酸化水素.ヒドロキシルラジカルなどが発生する. 一方，外因性の要因としてよく知られるのが電離放射 線や近紫外線への暴露であり，水を活性化する事でヒ ドロキシルラジカルなどを生じる.これら活性酸素種はその反応性に富む性質ゆえにタンパク質，核酸，脂質などの生体分子を攻撃する事があり，特にDNAの 酸化は細胞の老化やがん化の原因の一つとされてい るそのため，生物は活性酸素種に対する多彩な防 御機構によつて細胞内のレドックスバランスを保ち，生体分子への傷害を防いでいる.防御機構は酵素的な 機構と非酵素的なものとに大別され，前者ではカタラーゼ，スーパーォキシドジスムターゼ，ペルォキシ ダーゼといつた酵素が過酸化水素などを分解しており，後者としてはグルタチオン，ビタミンにビタミンEやカロテン等の化合物による無毒化が知られ ている2).また.攻撃を受けて傷付いた生体分子の修 復機構も存在する.例えば塩基除去修復系と呼ばれる 機構はDNA中に生じた8-ォキソグァニンや5-ホルミ ルゥラシルなどの酸化塩基を認識し修復している3).