西アフリカのサバンナ農耕システムにおける総合的害虫管理: 1.マメ科作物の害虫とその天敵におよぼす混植の影響

摘要

西アフリカの乾燥サバンナ地域では、伝統的にイネ科穀類とマメ類の混植（intercropping）が行なわれている（図1）。 国際熱帯農業研究所(IITA）では、このような耕システムに適したマメ科作物として、耐乾性,多収性にすぐれたササゲVigna unguiculata 品種の育成をすすめ、さらに空間利用や農作業の効率を高めるため、従来の混システムを改良した「短冊植（strip cropping）」を考案した（図2）。 　 こうした栽培システムの中で、本地域ではササゲを加害るアザミウマ類、マメノメイガMaruca vitrata、カメムシ類による被害が甚大であり合成殺虫剤を散布する以外に有効な防除手段がないのが現状である。 天敵生物を人為に導入する生物的防除法のこころみも、本地域では長期間にわたって寄主植物が消失る乾季があることや、マメノメイガなどの主要害虫は毎年雨季になると南部から飛来るという非永続的環境であるため、導入天敵を定着させて永続的な防除を行なうこと容易ではない。