大腸癌に対するESDの現況と展望

摘要

胃におけるESDの技術が国内で普及し，その技術が大腸腫瘍に対しても応用されるようになった。しかし当初，限られたデバイス，局注液，scope,高周波装置で行われていたため，その手技は困難さを極め，著者も最長10時間の治療を強いられたこともある。大腸ESDは一部の限られた施設，術者のみが施行し得る特殊な技術であった。しかしその後，様々なESDに対する技術投入がなされることとなり，徐々に一般病院へも普及しつつある。しかし，その技術難易度の高さ，適応病変の議論など， いまだ数々の問題点をはらんでおり，保険収載には至つておらず，先進医療として一部の施設で行われている現状がある。本章では，大腸ESDの歴史的背景から現状， 将来的な展望について述べてみる。