セロトニン1A受容体作動薬タンドスピロン-セロトニンと精神機能の関連性－

摘要

脳の神経伝達に関与する神経伝達物質が本格的に研究され始めたのは1960年代に入ってからである。 神経伝達物質としてはモノアミン，アミノ酸，ペプチド，コリンなど数十種類が知られている。 セロトニン（5－HT）が脳に存在することが見出されたのは1953年である。 その後，生合成経路，脳における分布，生理作用が明らかにされ，神経伝達物質としての地位が確立されてきた。 5－HTの生理機能は血管や平滑筋の収縮作用および血液凝固促進因子などの末梢作用と睡眠，体温調節，情動などの中枢神経系への作用が知られている。 最近になり，精神疾患の治療薬として開発されてきた新しい薬剤の多くが5－HT神経系に作用することから，精神神経機能との関連性が注目されてきている。