血液浄化としての吸着療法--括生に寄せて--

摘要

血液浄化とは，「体外循環技術を応用して体外に導き出した血液中から物理学、化学、生物学的原理を応用して病因（関連）物質を直接除去する医療技術である」と定義することができよう。 そこでは，ある種の病態においては病因（関連）物質が血液中に存在するという認識がある。 病因（関連）物質としてのは，必ずしも病因と確定されなくても，病因に関連する物質の除去が病態を改善する場合のあることを想定しているのである。この概念は，通常，1913年のAbelらのtoxemia（毒血症）とvividiffusion（現在でいう血液透析）、plasmapheresis（血紫交換）による治療の可能性の記載に始まるとされるが，すでに中世に行われていた潟血には，病因物質についての暗黙の認識があったものと理解すべきであろう。