放射性物質で汚染された家庭の芝生の除染について 一造園式芝生除染、更新工法の検証の試み一

摘要

2011年3 月11日に起きた東日本大震災を契機に東京電 力福島第一原子力発電所（以下，福島第一原発）で起きた 事故で，福島を中心に東日本全域に放射性物質が飛散した。 福島第一原発の事故は未だ解決しておらず，収束に向けて の工程の途にあり，予断を許さない状況が続いている。こ の一連の事故によつて飛散した放射性物質の量は甚大であ り，2011年7月10日の報道では大気中に77万テラベク レルと推定され，8月26日付けで経済産業省原子力安 全、保安院から出された試算値は，セシウム137で，1.5 x1016 Bq，広島に投下された原子爆弾のおよそ168倍の 放出量と推定できる。この大気への放射性物質の放出は， 福島県内のみならず，東日本全域にわたっている。放出さ れた放射性物質は，その風向きによって拡散し，山の斜面 や高層ビルなどに遮られて地表へ降下したり，拡散してい る途中で雲とぶっかり，雨（場所によっては雪）に混じつ て降り落ちてきたりした。そのため，拡散況は福島第一 原発からの距離だけではなく，地形や風向きなどにより異 なり，このことがさらに事態の解明を一層困難にしている。 放射性物質の分布は一様ではなく ，また目に見える物質で はないため，放射性物質から放出されるgamma線あるいはbeta線 を検出する装置を用い，その線量を計測することで初めて その場所の線量の高低を知ることが出来る。