ラットにおける食糞行動と栄養摂取について

摘要

食糞行動（Coprophagy）は様々な動物で確認されており，コアラやウマのように母子間でみられるものを除いて，自らの排泄物を摂取することは異常行動としてとらえられているが，ウサギ，ゲッ歯目動物では生得的な慣習であり，問題行動ではないと考えられている。ラットの食糞行動については古くから知られており，その行動日的について栄養学的および行動学的に検討されてきた。 1946年GeyeIらは食糞行動を阻止するケージとして環状のものと筒型のものを比較し，筒型の方が食糞行動の阻止には適していると判断している。 その際に食糞行動が阻止されたラットには成長が悪くなり，それがビオテン欠乏と同様の症状であると報告している。BaRkiらもまた，食糞行動を阻止するとビオテンや葉酸の要求量が高まることを報告している。その後，Barnesらは食糞行動の阻止器具としでテールカップを考案し，食糞行動以外の行動を抑制しないで成長試験を行い，食糞行動の阻止による成長不良について検討してきた。