マグロ蛋白質摂取が健常成人のクレアチニンクリアランスに及ぼす影響

摘要

Hostteterは，健常成人にビーフステーキ（以下，ビフテキ）200g（蛋白質86g）を急性負荷すると，糸球体濾過量（以下，GFR）が絶食継続時のそれに比し約20％増加すると報告した。GFRが基準範囲より増加する現象は過剰濾過といわれ，糸球体に負荷を与え好ましくないとされている。 Krishnaらは，調理された牛肉蛋白質1g／kgを健常成人に急性負荷すると，後2～3時間でGFRは負荷前に比し約20～30％増加すると報告した。また，Rodriguez－Iturbeらは，ビフテキ200gの健常成人への急性負荷は過剰濾過を引き起こすが，その半分の100g急性負荷ではGFRの増加は認めないと報告している。過剰濾過を引き起こす食品蛋白質の種類と量については，なお報告が少なく，成績も一致しないものがある。 日本人の主な蛋白質源である魚蛋白では，Williamsら，中村らによるマグロ蛋白質のGFR増加作用の報告があるが，実験の対象と条件，GFR測定法，蛋白負荷量などを統一し，さらに検討を要するように思われる。 本研究では焼きキハダマグロ（以下，焼きマグロ）を用い，Hostteter，RodriguezIturbeらと同一蛋白質量を健常成人に急性負荷し，マグロ蛋白質がGFRに及ぼす影響を調べた。 また，焼きマグロのアミノ酸分析を行い，実験成績を考察した。