末梢血白血球に発現する 遺伝子を用いたゥシの妊娠診断法

摘要

妊娠の成立、すなわち受胎を知ることは、ヒ トを含め多くの動物にとって精神的および経済 的に有益である。今日のように各種技術の発 展、高度ィ匕した社会環境では、できるだけ早く 妊娠の成否を知ることが求められている。家畜 における受胎の成否は、生産性と直接結びつ いていることから、早期の診断が重要である。 早期の診断は、結果として次回の授精ゃ胚移 植ならびに不妊治療への着手などの対策が早 期に可能となるため、生産現場では経済的な 負担の軽減につながる。牛の受胎率は、乳牛および肉牛のいずれにおいてもこの20年来低 下の一途をたどり、この間約10-20%も低下し ている。結果として、乳牛では全体として40数 %の受胎率で半数以上が妊娠しないことになる。分娩間隔は1年1産のかけ声からはほど遠 く約440日となり、酪農経営の基盤を揺るがす 大きな要因である。このような状況は、我が国すうせいだけでなく世界的な趨勢であり、その原因の究 明は重要な課題であるが、未解決の状況が続 いている。受胎率を向上する一つの方法として、 早期の妊娠診断、再授精あるいは胚移植とい つた手法を組み合わせることにより、牛の生涯 生産性の改善が可能となる。