高度循環型農業としての植物工場の展望一新たな耕畜連携を探る一

摘要

野菜および畜産に限らず，それぞれのセクションは，資源とエネルギー効率化の観点か ら，農業全体を見渡して合理的な配置，連携を図るべきである。特に，地域活性化のためには， それぞれの地域にある資源を総合的に活用し，物質、エネルギー両面において，独立性を高める方策が必要である。現状，植物工場，畜産施設，食品加工施設，廃棄物処理施設は，個々に 独立し，少なくないエネルギーを消費して，生産物を生産し，別個に廃棄物を処理している。 このような考え方から転換が必要である。地域においてクラスターを形成し，効率的にェネルギーを生み出し，有用な物質を生み出すのである。このようなしくみの中では個々の施設は物 質変換をより効率的に行う"触媒"へと変貌する必要がある。また，植物工場や畜産施設だけ ではなく，さらに地域として大局的な視点に立った個々の施設の位置づけこそ重要である。総論としての議論よりも，具体的な地域を想定した連携モデルの構築と社会実装が求められてい る。植物工場における省資源，エネルギー，高生産性において得られた成果を中心に，畜産と の地域における連携の可能性を探る。