世界の家畜福祉政策と福祉品質（WQ)商品の開発動向（3)

摘要

これまで述べてきた米国，EU， OIEなどのアニマ1 ルウェルフェア畜産の展開とくに世界の家畜福祉B基準への日本の対応は始まつたばかりである。 お 1)愛護法の改正と産業動物基準の改正日本の家畜を含めた飼育動物の保護を対象とすギ る法律は1973年の「動物の保護及び管理に関するヌ' 法律」の制定から始まったのであるが，特段に家畜牛 を対象とした規定がなく，家畜の保護に関しては同 法第7条4項によって1987年の「産業動物の飼養食 及び保管に関する基準告示」が定められているに過食 ぎない。また，殺処分においては同法第40条第2 項によって1995年の「動物の殺処分方法に関するさ 指針」が適用されているに過ぎない。この「動物の1 保護及び管理に関する法律」は，1990年代のィヌゃさ ネコのぺッ卜の保護に関わる市民運動によって改I 正が繰り返され，1999年の改正では法律の名称がI 「動物の愛護と管理に関する法律」と改名された。, 愛護という名称のように哺乳類，鳥類，爬虫類などつ 人が占有するすべての飼育動物を愛護動物として5 規定しており，主としてぺットを対象とする概念か2; らの改正である。しカゝしながら，飼育動物にはぺッ トだけではなく，畜産動物，実験動物，動物園動物 などが存在しているのであり，本格的な法的整備がと 求められている。家畜の飼育実態に合わせた法的整畜 備にするためには，2005年改正で導入された動物実そ 験における3R (Refinement苦痛の軽減，Reduction 使用数の削減，Replacement代替法）の概念導入と豸 同様に，家畜への福祉基準の基本的原則である「動レ 物の5つの自由」（この連載の初回105号で説明）さの導入が課題となっている。 ,