櫛形高分子系分散剤を添加したリソ酸三カルシウム（α-TCP）サスペンションの流動特性

摘要

本報では，α-TCPを分散質として用い，α-TCPへの櫛形高分子系分散剤の吸着·分散作用について基礎的なデータを得ることを目的として検討を行った。 本報の範囲で得られた結果は以下のようである。 1）櫛形高分子系分散剤を用いることで流動性が向上しており，同一流動性ではα-TCPの水比を低減することが可能であると考えられる。 2）グラフト鎖重合度の小さいP-10を用いた場合のほうがグラフト鎖重合度の大きいP-34，S-34に比べ低添加量から見かけ粘度が最小値を示しており，α-TCPの分散剤としてはグラフト鎖の短いものの方が有効であると考えられる。3）α-TCPに対しても櫛形高分子系分散剤は単分子吸着し，その立体障害効果によってα-TCP粒子を分散させるものと考えられる。 4）α-TCPの粒度分布を多モードとすることで，さらに流動性の改善が可能であることを明らかとなった。5）以上の結果から，流動性を確保しつつ，水粉体比を低下させ，高強度化が可能であることが示唆された。