芋焼酎をとおしてみる'鹿児島の6次産業化' と今後の展望

摘要

南九州の地酒にすぎなかった芋焼酎が今では日本全体で広く飲まれるようになり、地域の重要な産業となってきた。その背景には地域を巻き込み6次産業化を図ってきたことが大きな要因として 挙げられる。この産業構造がWTO酒税紛争敗北に伴う大幅増税後の危機的状況を乗り切る大きな要因となつた。 この6次産業化は一朝一夕に形成されたものではなく、 300年の歴史が背景にある。清酒造りに不向 きな南国の風土のハンディを逆手にとり、蒸留技術を取り入れ、製造方法、醸造微生物を見直し、 サツマィモに適した製造方法を開発してきた。芋焼酎が6次産業化に成功した背景には地域優位性を活用し、地域原料にこだわり、地域が連携 し、地域循環型産業を形成してきたことがある。順調に発展してきた焼酎産業も国際化の波に揉まれ、国内でも厳しい競争に晒されつつある。今 こそ6次産業化を図ってきた産業構造の強みとその文化性を生かす時期である。