幻に終わった大型イージス艦たち

摘要

1970年代中期の米海軍は，スプルーアンスSpruance級駆逐艦の船体を流用したDDG-47級（後のタイコンデロガTiconderoga CG-47級）以外にも，複数のイージス艦建造・改造案を検討していた。これらがいずれも大型の原子力推進艦であった点は，今日の米海軍の建艦計画と比較して興味深いものがある。当時の米議会や米海軍においては，今よりはるかに原子力推進に対する信奉が強く，潜水艦，空母はもちろん，空母を直衛するミサイル・フリゲイト（後のミサイル巡洋艦）もすべて原子力艦とする計画を進めており，これら大型水上艦に最新のイージス・システムを搭載し，強力な防空スクリーンを展開させようという発想は，ごく自然なものだったのである。