歴史から考える「グローバリゼーションの终焉」

摘要

新型コロナウィルス感染症のパンデミックは，グローバル経済の流れをせき止めてしまった。1980年代から本格化した現代グローバリゼーションは，これからどのような展開を遂げていくことになるのか。最近の歴史研究では，グローバリゼーションの大きな波は，16世紀と19世紀にも起きていた。重要なのは，大航海時代に始まる初期のグローバリゼーションも，産業革命以後の近代のグローバリゼーションも，最後は革命と戦争によって終わったという事実である。統治エリートの信任低下，ナショナリズム，国際政治の力学変化などの理由で，既存の秩序が暴力的に再編されたのである。現代も，同じパターンを迪るかどうかは分からない。だが，過去のグローバリゼーションの後退局面で起きた問題は，現代でも形を変えて繰り返されているのは間違いない。とりわけポピュリズムは，これから先進国の政治を大きく揺さぶることになるだろう。グローバリゼーションの過去と現在を比較し，ポピュリズムの最近の研究なども踏まえながら，コロナ以後の国際政治経済秩序の変化を考えてみたい。