地球環境問題としての低炭素社会型の排水処理の方向性と国際的展望

摘要

21世紀の健全な水，物質系の低炭素，循環型社会を構築するうえで，生活由来の汚水等の適正な分散型の生物処理の基本であるCO2，メタン，亜酸化窒素ガスの発生抑制とリンクする食物連鎖機能を強化した技法が着目されている。それゆえ，特定生物優占化活性汚泥，生物膜，膜分離一オゾン技法など，太陽エネルギーを有効利用するメタン酸化細菌の共存する有用水生植物，藻類などを活用した有価物回収ハイブリッド処理を行ない，さらに，水環境へ回帰し水質の劣化を防止するために，派生汚泥，植物残連などの資源化，エネルギー回収と同時に地域を中核とした低炭素，循環システムの構築が重要である。このような水系，物質系循環の最適化に資する省エネルギー，省管理型技術開発および解析，評価を行ない，バイオエコシステム活用特定生物優占化汚濁負荷削減循環制御型プロセス確立による枯渇化水資源の保全，再生，利用型の低炭素社会システムの構築が必要とされている。本稿では，これらを踏まえた方向性を述べることとする。