超低温・高磁場走査トンネル顕微鏡の開発とランダウ量子化の計測

摘要

走査トンネル顕微鏡（STM）および走査トンネル分光（STS）は物質表面で生じる物理現象の観測に非常に有効な実験手段である．近年盛んになってきた低温環境でのSTM／STS実験の場合，原子・分子の熱振動や装置の熱ドリフト・熱雑音が低減されるので，より高い空間分解能と長時間安定性が得られ，フェルミエネルギー（E_F）近傍の表面電子状態密度をより高いエネルギー分解能で測定できる．原理的には磁場中でも動作するので，光電子分光や逆光電子分光といった実験手法では測定できない磁場中状態密度を，原子レベルの空間分解能をもって調べることもできる．