働き方の男女不平等理論と実証分析

摘要

大学の文系学部で統計学を教えると、明日を担うべき（相対的には活発な印象を持つ）女子学生の少なさが気になる。定期的に開催される統計学関係の研究集会に出かけると、女性報告者の数の少なさも感じられる。また役所の会議に参加すると女性幹部職員は数えるほどである。今後もこれでよいのだろうか？「働き方改革」は現在の日本の政府·政治家にとり重要な政策標語であり、本誌の読者を含め多くの国民の関心事だろう。高齢化社会を迎え、総人口が減少するステージにある時代では特に「女性労働の役割」と「外国人労働の役割」は今後の日本社会·経済のあり方、政策を考える際の重要な論点である。つまり「女性の働き方·賃金格差」の問題について基礎的な統計データ分析の結果は、今後の日本社会を考える上で重要なのである。ところが、しばらく前から社会学者や経済学者が利用している「統計学の教科書」で説明されている統計的方法は、こうした社会·経済の問題を分析·理解していく上では不十分であることを本書は主張しているのである。