脱系列とグローバルメガサプライヤーの流れ

摘要

日本の自動車産業において、これまで完成車メーカーとサプライヤーの長期的な関係の礎となってきた「系列取引」が大きな転換点を迎えており、今後、グローバルメガサプライヤーが活躍する時代を迎えつつある。歴史的に日本の自動車産業において行われてきた系列取引では、トヨタ、ホンダ、日産といった大手完成車メーカーが各部品を自社のグループサプライヤーに発注する傾向があり、ある部品について複数のサプライヤーが存在することになる。カーエアコンを例に挙げるとトヨタ系サプライヤー=デンソー、同、ホンダ系=ケーヒン、同、日産系=カルソニックカンセイ、といったサプライヤーが存在する(もちろん、ホンダは全てのカーエアコンをケーヒンから調達するのではなく、一部、デンソーなどからも調達する)。では、これまでの系列取引により、これらの系列サプライヤーの業績がどのような影響を受けていたのか。図1では、トヨタ系の主要サプライヤー6社合計の修正粗利(=粗利+減価償却費)とトヨタが世界で生産した自動車台数の推移をまとめた。トヨタの系列サプライヤーの業績は、トヨタの生産台数と連動する傾向が伺えよう。