新たな魚類多様性のホットスポット

摘要

個体数と機能的形質を統合することで明らかになった全球の新しい魚類多様性ホットスポットについて、タスマニア大のR.D.Stuart-Smith博士らが報告している。(ネイチヤー7468号)種の豊富さは、全球の生物多様性パターンをとらえるうえで数百年にわたって第一の指標となってきた。この理論的枠組みがいかに重要視されているかは、生態学や保全管理において、幅広いスケールの多様性パターンの促進因子を解明するため、また、管理の生物学的基礎として、種の豊富さとそれに関連する存在度に基づく尺度に重点が置かれていることに表れている。しかし、この状況は急速に変化しつつある。なぜなら現在では、種の多様性と様々な生態学的機能(バイオマス生産や栄養循環など)との関係の特性や強度を明らかにするためには、種の数だけでなく、存在する種、それらの表現型、および種ごとの個体数も極めて重要であることがわかっているためである。それらの尺度を統合すれば、種数だけによる場合よりも、生態学的機能の点からみて、より適格に表現された全球の生物多様性パターンが得られると考えられる。