20世紀初期の日本対外広報から探る

摘要

東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)は1月9日から2月28日まで展覧会「ようこそ日本へ: 1920-30年代のツーリズムとデザイン」を開催する。日本で初めて海外に対して行われた観光キャンぺーンで用いられた、杉浦非水や竹久夢二、吉田初三郎、里見宗次らが手がけたポスターやグラフ誌、パンフレットなど約120点が展示される。シベリア鉄道との連絡による南満州鉄道の国際線化(1910年)やパナマ運河の開通(1914年)によって第一次世界大戦後には世界的な海外旅行ブームが到来し、日本にも海外から観光客が訪れるようになった。日本政府は30年に国際観光局を発足し画家やデザイナーを動員して、外客誘致キャンぺーンを展開。これらの結果、円安効果もあり30年代中頃には外国人旅行客は4万人を超え、その消費額は1億円以上と第4位の外貨獲得高を占めるようになった。