中性子が多い原子核に現れる3つの特異構造: 東工大、理研の研究グループが統一的に理解

摘要

東京工業大学大学院理工学研究科の中村隆司教授および理化学研究所の研究グループは、中性子が非常に多い原子核で見つかっている「中性子ハロー」、「魔法数の消失」、「強い変形」という3つの特異構造が、重いネオン同位体(ネオン31)にすベて発現していることを定量的に明らかにし、これを統一的に理解することに成功した。ネオン31(陽子数10、中性子数21)は、中性子を陽子の2倍以上多く含む重いネオン同位体で、ネオン30というコンパクトで硬い芯原子核の周りに、薄く雲のように広がった1個の中性子がとりまく中性子ハローという特殊な構造を持つことで知られている。中村教授によると「ネオン31は、半減期が3ミリ秒程度と不安定であるため生成が極めて困難な原子核である。存在が初めて確認された1999年には1日あたり4個程度しか生成できなかったが、理研のRIビームファクトリー(RIBF)で1秒間あたり5個程度生成できるようになってはじめて今回の実験が可能となった」という。