自動車の卜ライボロジー分野の最新動向: 100年に一度の大变革期を迎えて

摘要

自動車分野は1980年代まで摩耗·焼付きなどの故障対応が主であった.しかし1990年前後を境にして主流はフリクション低減による燃費向上に代わってきた.潤滑油·設計·材料（Lubricant,Design,Materialの頭文字を取ってLuDeMaといわれる）の研究開発によって燃費は年々向上していったさらに2005年に京都議定書が発効され，地球温暖化の原因のCO_2排出量低減が世界各国で義務化された.このため自動車の燃費規制が一段と厳しいものになり，EV,HEVやFCV（電気自動車，ハイプリッド自動車，燃料電池自動車）の開発が盛んになり，従来のMT,AT,CVT車の燃費改善もフォーカスされるようになった.その結果，2012年に文科省プロジェクト「グリーン·ネットワーク·オブ·ェクセレンス（GRENE)事業　グリーントライボ·イノベーション·ネットワーク」，2013年同じく文科省プロジェクト「東北発素材技術先導プロジェクト超低摩擦技術領域」がスタートする.さらに続くように内閣府プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム（SIP)革新的燃焼技術」が2014年にスタートした.時を同じくして2013年にスタートしたトライボロジー学会第1種研究会がトライボロジー技術による自動車の燃費低減効果の大きさを初めて推定できる計算ソフトを提案することになる.このように自動車分野においては，燃費向上のためのトライボロジー研究が産官学挙げて盛んに行われるに至った.