『技術者の自立•技術の独立を求めて』刊行を省みて

摘要

土木図書館委員会では100周年出版事業の一環として、直木倫太郎•宮本武之輔研究小委員会を組織し、『技術者の自立•技術の独立を求めて—直木倫太郎と宮本武之輔の歩みを中心に』を刊行した。以下に本書刊行の背景とエピソードを紹介する。土木学会土木図書館委員会では、2004年土木学会90周年事業として『古市公威とその時代』、10年には『沖野忠雄と明治改修』を刊行した。今回の出版はそれらに続くものである。3書とも特定の技術者の歩みを通じて、その時代の国土づくりを見ていこうとするものである。土木学会初代会長古市公威は、明治時代、河川•港湾•鉄道などほとんどの分野の公共土木事業に関わっていた。二代会長沖野忠雄は、明治の河川改修全体を指導していった。彼らの歩みを縦軸に、具体的な事業を横軸にして、明治時代の国土づくりの全体像をアプローチしていくことは可能と思い編集に努めた。成功しているかどうかは、読者の判断を待つしかないが。