市域全体で一日常生活圏域とする地方小都市における 高齢者の生活圏域の実態と圏域設定の妥当性に関する事例考察

摘要

本研究では、巿域全体（4中学校区）で一福祉行政圏域設定する 地方小都市珠洲市における高齢者の行動実態としての生活圏域を把 握した上で、圏域設定の妥当性を考察した。まず珠洲巿全1圏域内 5地区に居住する高齢者229名を対象として生活圏域の実態を明ら かにした。その結果、全般的傾向として外出先が内浦側の市中心部 に向かう生活圏の「一極偏向性」がみられた。そのため内浦地区と 外浦地区の生活圏の拡がり方が大きく異なった。すなわち內浦地区 では各種施設への距離が比較的近く、高齢者の生活圏は比較的小さ い。一方、外浦地区では各種施設への距離が比較的遠く、徒歩外出 件数はかなり少なく、高齢者の生活圏はかなり広域であった。次に 市域全体で一福祉行政圏域とする設定の妥当性について検討した。 人口規模、生活圏の一極偏向性、地城互助組織の担当範域との対応 性からみると、巿域全体で一福祉行政圏域としても妥当であるが、 高齢者の生活圏の平均的時間距離からみると、やや広すぎると考え られた。その解決策として効果的•効率的な施設配置を検討した。%The purpose of this study is to understand the behavior of the elderly in a small local city in which an official senior care service area is to be established, and to discuss on the appropriateness of establishing this area. A survey of two hundred and twenty-nine senior people was conducted in Suzu city, Ishikawa Prefecture. As results, from the standpoint of population size and the living areas' "unipolar propensity/' we believe this establishment is appropriate. However, from the standpoint of average time and distance of the elderly's living areas, establishing one area in the entire city is somewhat too vast.