現代の教会建築における トッブライトによる礼拝空間への採光手法の形態的特徴

摘要

The aim of this study is to clarify the morphological characteristics of adopting day-light methods from skylights in the worship space of contemporary religious buildings built after 1950s. First, the morphological characteristics of worship space as seen from the relationships to chancel are analyzed by the planar and sectional form of worship space, planar composition of chancel and nave, arrangement of congregation's chairs. Second, the arrangements of skylights in worship space are analyzed by their section and plan. Finally, six major types of adopting methods of day-light from skylights are founded from twelve categorized types by their morphological characters.%自然光は，時間や季節によって変化することで空間の印象に大き く影響を与える要素の一つであり，空間表現の手法として多くの建 築設計において重要な役割を担ってきた.特に，上方から採り入れ られる光は，パンテオンをはじめとする多くの建築空間を特徴付 けてきた採光形式であると言える.そのようなトップライトは， 側窓から容易に自然光を得られる外周部から離れた建物中央部に自 然光を採り入れることを可能とし，平面的に奥の深い空間を感じさ せることができる窓であると言える.そして，人工照明が登場する 以前には，ガラスや鉄骨をはじめとする建築技術の発達により，側 窓に制約されていた平面計画がトップライトによる自然光利用によ って新たな形式を獲得した例もある.その後，人工照明の登場によ って自然採光の必要性が薄れる時代があったものの，近年は環境配 慮の必要性の高まりや光に対する価値観の変化などによって，トッ プライトによる自然光利用を行う建物は以前にも増して散見される ようになった.そして，トップライトからの採光には機能的に求め られる照度を確保するだけでなく，多様な空間演出の手法を見出す ことができるのではないかと考える.筆者らはこれまでに，美術品 が壁面に展示されることから側窓の設置が難しく，自然採光を行う場合にトップライトが主体となる美術館の展示室を対象に，均質な 展示空間が標榜される中で生まれた直方体の展示空間である「ホワ イトキューブ」を典型と仮定し，トップライトによる採光手法を展 示室の形態的特徴とトップライトの平面的配置との関係性から論じ てきたへこれに続き本研究では，外部の景色に注がれる視線によ って礼拝への注意が妨げられてしまうことから側窓が極力排除さ れ，トップライトによる上方からの採光が明るさを確保するためだ けでなく，神を象徴する天上の光としても重要な意味を担っている 礼拝空間を対象に，トップライトによる採光手法を形態的特徴から 考察するものである.