成人T細胞性白血病

摘要

成人T細胞性白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATL)は,ヒトT細胞白血病ウイルス(human f-cell leukemia virus type-1:HTLV-1)が原因の末梢性T細胞腫瘍である.HTLV-1感染の主経路は母乳で,50年以上の長い潜伏感染を経て,キャリアの2～3%に発症する.臨床的に,急性型·リンパ腫型·慢性型·くすぶり型の4型に分類する「下山分類」が診断基準として広く用いられる(表1).臨床症状は病型ごとに異なり,発熱や全身倦怠感などの全身症状,皮膚病変,肝脾腫,リンパ節腫脹など多彩である.末梢血のflower cellと称する異常リンパ球出現に加え,高カルシウム血症をしばしば認める.血清可溶性インターロイキン2受容体は異常高値である.可能な限り,HTLV-1プロウイルスDNAのクローナルな組み込みをサザンブロット法などで確認する.表面形質検査ではCD2+/CD3+/CD4+/CD5+/CD7-/CD8-/HLA-DR+,CD3発現は弱陽性,CD25は陽性である.まれにCD4-/CD8+もしくはCD4+/CD8+のことがある.病型分類は予後分類としても重要で,急性型·リンパ腫型·予後不良因子を有する慢性型をきわめて予後不良なアグレッシブATL,くすぶり型·予後不良因子を有していない慢性型をィンドレントATLと分類し,治療方針の決定にも有用である.