食品関連工場におけるフードディフェンスへの取組みについて: フードディフェンスの基本と製造現場での実例

摘要

2015年は大手食品メーカーでの昆虫の混入による大規模な製品回収や、それに端を発した製品の生産•販売の停止といった事件が年初に発生し、その後も今日に至るまで異物混入や汚染による食品の回収に関するニュースが何度も取り沙汰されてきた。このような事件は今年に限らずこれまでも繰り返して発生してきたが、それらの影響により、近年では食品関連企業に対する消費者からの食品の安全性への要望が年々高くなってきており、それに伴い国内や海外の行政機関からの関連法規順守の要求もこれまで以上に高まっている。さらに、取引先企業からは、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO22000や、FSSC22000に代表されるグローバル•フード•セーフティ•イニシアティブ(GFSI)が承認したスキーム等に基づく食品安全への取組み要求や、それらの規格に則つた二者監査も増えてきている(図1)。上記のような食品関連企業に向けられた要求事項は多方面に渡り、以前に比べて個々の要求レベルが上がっていることが窺える。そして、様々な要求における共通点としては、問題の発生を未然に防ぐための予防活動が運用されているかどうかが挙げられる。