リサイクル促進に向けた小学校を拠点とした資源回収施設の効果と展望:フィリピン国カランバ市を事例として

摘要

フィリピン国において，国内人口の増加に伴う廃棄物量の増加とその不適切な処理は，大気·土壌·水質汚染の原因となるだけでなく，都市部では雨季における洪水の原因の一つとなる喫緊の課題である(アティエンザ，2013)。2001年1月に公布された「固形廃棄物エコ管理法」では，固形廃棄物全般の管理について定めている。同法ではリサイクルの促進に向け各バランガイに資源回収施設(廃棄物の分別·リサイクル·コンポスト化を行う施設)を設置することを定めているが，財政的な制約や地域住民の参画不足などの理由によりさまざまな困難に直面している。こうした状況を踏まえ，研究対象地であるカランバ市ではより安価で資源回収施設の簡易版としての「エコセンター」の設置を促進している。エコセンターは，廃棄物の分別に特化した施設であり，市内の小学校や病院，住宅地などに設置が進められている。