松尾匡·橋本貴彦　著『これからのマルクス経済学入門』

摘要

当然と言えば当然のことであるが，それぞれの授業で使われている教科書を見ればその講義内容のおおよそが分かる。そして，そのため，評者は自分が現在担当する科目＝「マルクス経済学」の原論の様々な教科書を読み比べてきた。たとえば，東大の講義を参照にすべく小幡道昭氏の教科書を読んで書評を書き(『経済科学通信』第128号)，さらに本書を手に取った。同じく4単位の原論科目の教科書であるとお聞きしたからであるが，本書はその冒頭でのみ使用する教科書であるらしい。このため，原論講義の全体像を本書から知ることができなかったが，それでもいくつかコメントできる内容はある。