逃げ地図を活用した「防災まちづくりアート」の概念と手法: 多様な災害からの逃げ地図の作成・活用に関する研究（22）

摘要

まちづくりを促進するためにアートを取り入れる手法が一定の評価を得ている。防災まちづくりや防災教育にアートを導入した事例としては、イザ！カエルキャラバン！のプログラム（ＰＧ）が知られているが、その他のＰＧは少なく学術的な研究の蓄積も乏しい。これは、防災とアートの特性が相反しているためと考えられる。防災は災害被害を最小限にとどめる目的を持った事前の取り組みなのに対して、アートは従来アーティストによる自由な自己表現であることから相容れないといわれる。しかし、二つはまちづくりを媒介にすることで、防災に自由な発想と、アートに目的を持たせることができ、防災とまちづくりとアートの分野の活動の持続性や総合性が期待できると考えられる。筆者らは、逃げ地図づくりにアートを加味した「キツネを探せ！」のＰＧの開発について報告してきた。本研究では、そのPG の内容と効果を振り返り、「防災まちづくりアート」の概念と手法について検証する。