フランス流機能主義の古典と現代

摘要

パリで例のテロがあった数日後に、この原稿を書いている。フランスの話題を扱うことの多い者として辟易するのは、報道を含めて無為に危機を煽る質の悪い情報が多く、渡航自粛や酷いのになると年末のパーティ自粛を促す声まである。現地で見開きしたレポーターが勇ましく伝える情報は一見信用できそうだが、そもそも論が最初から滑っていて情報の土台ごと著しく弱いものも多い。パリの事件のあった近辺は盛り場というだけでなく、どんな地区でどんな人種が集まってどんなコミュニティが張り巡らされているか、実は知っている人にはわりと自明のものだ。ぼくは今のところ事なきを得ているが、フランスで戒厳令や戦争状態はこれまでも何度もあった訳だし、2015年だけでもパリの空港で爆弾騒ぎに2度遭遇している。結局、自粛を促すことは、感情的な人の感情的な反応を一時的に和らげるかもしれないが、責任をもって相手と関わっていたら、そんな簡単には関係を断てないものなのだ。