エッセィ： TOD概念の由来•拡大と日本型TOD

摘要

米国のピーター·カルソープ0949年～)はその著書『The Next American Metropolis:Ecology,Community,and the American Dream』(1993年、Princeton Architectural Press)の巾で鉄道などの集約輸送型の公共交通の路線や郊外駅「Transit station」の周辺に、小規模な商業施設などを配置してその周辺に、駅に近いところは中密度、遠いところは低密度の住宅開発を行うという都市づくりのコンセプト(上図参照)を提唱した。それらの住宅地は駅から歩いて到達可能(平均歩行距離600m)であることが特色の一つであり、そうした郊外開発によつて都市全体として、自動車の利用を抑制することが狙いであって、そうした郊外開発をTOD(Transit Oriented Development)と名づけた。このコンセプトは、米国における1990年代以降の新しい都巿づくりの考え方であるニュー·ァーバニズムのーつと位置づけられている。1950年代以降の米国におけるインターステート·ハイウェイ(州際高速道路)システムの建設を契機として、画一的户建て住居群のみならず大規模なショッピング·センターなどの商業施設(60年代後半)およびオフィスなど就業の場(1980年代)の郊外化が進行し、全体として低密度の大都市郊外が形成された。その結果、大都市都心部では商業の衰退と雇用機会の喪失による急激な空洞化が進行した。こうした現象にたいする根本的な反省を踏まえて、多様性、コミュニティ、ヒューマン·スケールといった伝統的価値が米国の大都市の目指す新しい都市像を支えるものとして再評価され、そうした価値観にもとづく新しい都市づくりの動きを総称してニコ.ー·ァーバニズムと呼ばれている。