IMU と距離センサを用いたボート競技の漕艇動作の計測と精度評価

摘要

スポーツにおいて，コーチからの指導やビデオなどの外部から得た知識のみではなく，体を使うことで得た経験知が，選手の技術やパフォーマンスの向上につながっている。経験知は，一般に「感」と呼ばれている暗黙知（大崎，2009）の一種で，経験者本人がその動作を再現することは容易だが，他者がその動作を再現できるように教示することは困難である．指導の現場においては，指導者によって形式化された文字や音声によってその動作を教示しているが，一意的にその動作の教示方法は確立されていない．指導者が持つ経験知を定量的にデータとして表現し，選手に正確に示すことにより，指導効率の向上が期待できる．更に，選手の動作を定量的に数値化し評価に用いることができれば，専門家でなくても，熟練者のデータを用いた初心者への指導が可能となると考えられる．