ロードバイクにおけるペダリング技能向上に関する研究（引き足を対象としたクランク位置での局所制動を付与するトレーニングツールの開発）

摘要

自転車ロードレースは長距離を走行し，数秒を争う競技である．2017年度の全日本学生選手権個人ロードレース大会を具体例に挙げると，競技距離は141 kmであり，上位10名の走行タイムは3時間半程度でタイム差は30秒未満である．選手たちは，このような長距離を速く漕ぎ続けるための体力や技能を最大限発揮できるよう技術を磨いている．この技術の中にペダリング技能があり，効率よく漕ぐ方法としてアップストロークにおける引き足動作が必要とされている．競技用自転車には，一般的な自転車に使用されているフラットペダルではなく，ビンディングペダルが使われている．ビンディングペダルはシューズとペダルを固定することができ，これにより，ペダルを押す動作，踏み込む動作だけでなく，引く動作，引き上げる動作が可能となる．本稿ではこれらをまとめて引き足動作と呼ぶ．ゴール前のスプリント時や，急速に加速する時は押し動作や踏み動作を主に使用する．平地を巡行する際は余力を残し効率的に引き足動作を使うなど，場面によりペダリングを使い分ける必要がある(栗村，2012)．