救急搬送の遅れが患者の予後に与える影響に関する分析

摘要

本研究は，3 次救急医療・救急搬送の高度化を目的としており，石川県の救急医療の現状把握と課題を発見するため，救急搬送の遅れが患者の予後に与える影響を分析する．患者の予後を表す指標としては，入院1 か月後の退院率を使用している．なお，疾患別に分析を行っているが，紙面の都合上本稿では，「脳梗塞」患者の分析結果について報告する．脳梗塞は日本人の死亡原因の中でも上位であり，また，後遺症を残して患者が寝たきりとなることが多く，迅速な救急搬送が必要となる．石川県の医療計画によると，脳梗塞の外科的治療が可能な医療機関は県内に18 施設あり，うち4 施設が比較的高度な診療機能を有する3 次救急医療機関である．そしてこの18施設の地理的配置の偏りから，石川県内の救急医療には地域格差が少なからず生じているといった現状である．