臨床動作法の解剖学的解釈と画像解析による可視化

摘要

19世紀末に提唱されたジエームズ•ランゲ説(情動の抹消起源説)に代表されるように，人の動作を含む身体変化が情動に影響を及ぼすことが知られており，リラクセーションといった精神面のコントロールを具体的な行動変容を通して実現する可能性が一つの光となって久しい。その一例として心理学分野で成功を収めている手法に臨床動作法がある(1)。一方，身体変化を解剖学的な視点から分析し，健康全般への影響を診断，治療，予防する手技としてカイロプラクティックがある(4)。心身は互いに深く連動していることから，当然のことながらカイロプラクティックにおいても精神面を問題にするが，解剖学的視点を特徴としており，身体を一種のブラックボックスとみなす心理学的方法と対極的である。そこで，臨床動作法が解剖学的解釈を与えられれば，経験的あるいは感覚的な理解に留まらず，医学的な裏付けや手法の拡充に繋がる可能性があり，逆にカイロプラクティックが心理学的方法を取り入れれば，支援方法を拡充させることができる可能性がある。