多重衝突パルス噴流による高効率プロトタイプエンジンの開発（第2報）

摘要

最近、熱効率60％の試みがなされた．これはエンジン単体で排熱の多くを仕事に変換できることを示した点で重要である．ただし、大気は利用しておらず、酸素ボンベ·水素ボンベ等が必要という問題があり、しかも、冷却損失を大幅低減する見通しはたっていない．大気を吸引し、圧縮比を上げ、かつ、空気断熱化によって各種ガス圧縮型エンジン単体の熱効率を上げていく努力が必要である．我々は、古典的熱力学と高速圧縮性流体力学の両方を土台として、新たな高効率エンジン（多重衝突パルス噴流による新たな圧縮燃焼原理のエンジン：Fugine）を提案し、燃焼安定性を予測可能な新たなシミュレーションや非燃焼実験によって、その万能性や高熱効率ポテンシャルを定性的に示してきた．エンジンサイズや速度（マッハ数）によらず、騒音レベルは維持したまま、安定な高圧縮が可能で、エンジン側壁における冷却損失を大幅低減できる可能性を見出した．さらに、実機小型エンジン2機を試作し、燃料噴射系試験、始動試験について若干の報告をしてきた．本発表では、定量的なシミュレーション、衝撃波管における非燃焼実験、初期的な燃焼実験の結果を示すと共に、構造強度の信頼性やピストンリングの摩擦ロス等にも言及して、このエンジンコンセプトの設計指針も述べる．