受動蛇行により配管内を自在に推進する移動探査ロボット

摘要

地中に埋設されて長い年月が経過したガス配管は，腐食などにより，破断や亀裂の恐れがある.このため定期的にガス管内の検査を行う必要があるが，コストなどの観点から，配管を掘り起こさずに内部の映像を取得する方法が求められてきた.配管内の検査方法として，現在は押し込み式のカメラが主に用いられている.しかし，このような装置は直線状の配管に対して有効なものの，複雑に湾曲した管内を深奥部まで探査することは困難であった.この課題解決として，様々な配管内移動ロポットが開発されてきたが，鉛直上向きにも推進するためには，配管の内壁を押して支持力を生成するアクチュエータや機構の搭載が不可欠であった.その結果，構造的柔軟性が損なわれたり体幹口径が増加したりするため，曲率半径の小さい曲がりでの移動が困難となる課題が残されていた.そこで本研究では，柔軟かっ小口径を保ちつつ鉛直上向きにも移動できる推進方式として，「受動蛇行による交互駆動型推進」を提案した.本方式は，体幹の受動蛇行による剛性の変化を利用して支持力を生成できるため，i)体幹に新たなアクチュエータや構造を付加する必要がなく，ii)配管径が大きく変化しても体幹が受動的に順応しやすいことを特徴とする.本報では，当該推進方式を紹介したうえで，その特性について報告する.