Ⅰ-131に対する細胞応答性に基づき原発事故後の甲状腺癌のリスクを考える

摘要

Ⅰ-131は甲状腺に特異的に取り込まれる特性から、甲状腺疾患の内照射治療へ用いられる反面、Ⅰ-131が大量に放出されたチェルノブイリ原子力発電所事故後には近隣諸国で小児甲状腺癌の増加が認められている。東京電力福島第一原子力発電所事故(福島原発事故)後の福島県民健康調査においても小児甲状腺癌の発見症例数は増加しており、住民の不安要素の一っとなっているが、現在のところ、スクリーニング効果の影響がある、地域差がみられない、チェルノブイリと比べて年齢分布が高く推定される内部被ばく線量が低い、などの理由により被ばくとの関連は認められないとされている。