コロニーサイズが微細藻ボトリオコツカスの増殖に与える影響

摘要

微細藻類はリグノセルロース系バイオマスとともに次世代バイオ燃料資源として期待されている。中でもBotryococcusbraunii（以下、B.braunii）は乾燥藻体重量の30～50％の炭化水素を生産する。また、多くの脂質生産微細藻類は細胞内に脂質を蓄積するのに対して、B.brauniiは炭化水素を細胞外に分泌してコロニーを形成する細胞間マトリックスに蓄積する。そのため、B.brauniiは細胞破砕の必要がなく、脂質の回収が容易であり、バイオ燃料の原料の一つとして有望視されている。また、一般的な脂質生産性微細藻が窒素欠乏状態のようなストレスのかかった状態で脂質を生産するのに対して、B. brauniiは通常の増殖過程で炭化水素を生産するという特徴を持つ。一方で、B.brauniiは他の藻種と比べ、倍加時間が長く、比増殖速度が小さいと報告されている。ここで、倍加時間は微細藻の藻体濃度が2倍となる時間であり、比増殖速度は式（1）で求められる。倍加時間と比増殖速度には式（2）の関係がある。倍加時間や比増殖速度は、一般に微細藻の藻体に十分光が当たる低い藻体濃度で計測される。