サロマ湖海氷中のクロロフィルaを対象としたリモートセンシング手法の開発

摘要

北海道オホーツク海に面するサロマ湖の冬季結氷期の海氷中に生息するアイスアルジーは、クロロフィルa濃度にして最大380μg L~(-1)を超える［1］。これは、サロマ湖の春から秋の通常期の植物プランクトンの濃度である20μg L~(-1)の数倍から数十倍にあたる［2］。このように海氷中に蓄積されたアイスアルジーは融氷には海水中に大量に放出されることから、サロマ湖春季の生態系への影響がおおきい。アイスアルジーを計測するには、氷を採掘し直接計測するが、大変な労働力を伴うことから、サロマ湖全体でのアイスアルジーの総量はわかっていない。このような場合はリモートセンシングが有効ではあるが、海氷のアルベドは高く、衛星などパッシブリモートセンシングでアイスアルジーのクロロフィルa量を計測するのは困難である。そこで、昨年よりクロロフィルaの励起光（420nm）に近い青色レーザー（405nm）を海氷上部に照射し、蛍光（670nm）を観察する方法を検討した［3］。前回の結果では、クロロフィルa標準液の上に疑似海氷を配置した場合、氷厚20cm、クロロフィルa濃度400μgL~(-1)での観測は可能であった。今回のシンポジウムでは、実海氷での計測結果とその問題点、改良方法を報告する。