低温ケミカルルーピング改質プロセスへの演繹的設計手法の 応用

摘要

持続可能な新規化学プロセスで用いられる技術開発 の迅速化には、システム全体をモデル化し、その達成 すべき目標から触媒、リアクターなどへの開発要件を 演繹していくことが効果的である。近年、高温場での 吸熱反応である天然ガスの水蒸気改質 (SMR) におけ る温室効果ガス (GHG) 排出削減を目的としたケミカ ルルーピング改質 (CL-SMR) が研究されている1) 。 SMR では水蒸気により直接メタンを酸化しており反 応場は単一であった（図1、右）が、CL-SMR（図1、 左）では、酸素キャリア材料に酸素を媒介させメタン の酸化と水の還元を二つの反応場に分割して進行させ る。これにより、総括の転化率は単一反応の場合の平 衡制約を受けなくなる。本報告では、低温 CL-SMR を利用したメタノール製造プロセスのモデル化を行い、 GHG排出削減に求められる改質温度を提示した。