モノクローナル抗体精製におけるクロマトグラフィーのシミュレーションと設計

摘要

モノクローナル抗体（monoclonal antibodies：mAb） 製造プロセスにおいて、抗体を産生させる培養工程か らは、細胞由来の不純物を含む混合液が得られる。混 合液からmAbを単離するために図1のようなクロマトグ ラフィーを用いた精製プロセスがある。 mAbの精製では近年、カラム充填剤やプロセス連続 化に関する研究が進hでおり、設計の自由度が上がっ ているが、実験のみで多数の選択肢を検討できず、シ ミュレーションが必要となる。一方で、クロマトグラ フィーのシミュレーションは、物理モデルの選択やパ ラメータの推定を要するため、プロセス設計に十分に は活用されていない。mAbを対象とする物理モデル構 築と設計への応用については、Baurらの報告1) があるが、 実験室スケールでの検討にとどまっている。そこで、 本研究の研究目的を、クロマトグラフィーを用いた mAb精製プロセスのシミュレーションと設計とした。