バナジウム混合原子価二核錯体K3V2O3(nta)2·3H2O における誘電異常

摘要

本研究室では、単一分子で強誘電体的な誘電ヒステリシスを発現する単分子誘電体の開発に成功している。現在、単分子誘電体の発現機構は、分子内のイオン移動を起源としたもののみである。そこで本研究では、新たな発現機構に由来した単分子誘電体の開発を目的とした。今回、分子内の電子移動に着目し、これに基づく単分子誘電体特性の発現の有無を調査した。具体的には、バナジウム混合原子価二核錯体K3[V2O3(nta)2]·3H2O を合成し、その誘電物性評価を行った。