アニオン性支持配位子を有するイミド配位二塩化バナジウム（V）錯体の溶液XAS分析 —エチレンとノルボルネンとの共重合におけるアルミニウム助触媒の効果—

摘要

単座アニオン性支持配位子を有する4配位型のイミド配位バナジウムジクロリド錯体，V(NAr)Clsub2/sub(L) [Ar＝2,6-Mesub2/subCsub6/subHsub3/sub; L＝OAr, O-2,6-Phsub2/subCsub6/subHsub3/sub, N＝C supt/sup Busub2/sub, 1,3- supt/sup Busub2/sub(CHN)sub2/subC＝N, WCA-NHC ( N -heterocyclic carbenes with a weakly coordinating borate moiety)およびV(NAd)Clsub2/sub(OAr) (Ad＝1-adamantyl)，のトルエン溶液のXANESスペクトルにより，バナジウム原子周辺の局所構造に対する配位子および配位子上の置換基効果を検討した。バナジウム原子周辺のゆがんだ4配位テトラヘドラル構造を有するいずれの錯体においてもプレエッジピークの位置に大きな違いは見られず，バナジウム_塩素結合に帰属されるshoulder-edgeピークが観察された。また，（エチレン／ノルボルネン共重合に活性を有する）フェノキシ配位錯体にMAOやノルボルネンを添加してもスペクトルに大きな変化は見られないことから，この触媒による重合は価数変化を伴わずに活性種が生成することが示唆された。一方，V(N-2,6-Mesub2/subCsub6/subHsub3/sub)Clsub2/sub(WCA-NHC) 錯体にAl supi/sup Busub3/sub助触媒を添加すると顕著な変化（プレエッジピーク強度の減少とエッジ領域の低エネルギーシフト）が観察され，3価種の生成が示唆された。このスペクトルは，Al supi/sup Busub3/subの添加量の増加でわずかにプレエッジピークの強度に変化が観察されるもののノルボルネンの添加による変化は見られないことから，いったん生成した還元種（3価バナジウム種）が直接触媒反応に寄与する可能性が強く示唆された。