ジルコニウム系触媒を用いたセルロースのソルボサーマル 変換

摘要

植物の主構成成分であるセルロースは，自然界に最も多く存在するバイオマス資源である.セルロースを化学原料へ変換するプロセスにおける溶媒としては，水が望ましいと考えられ，当研究室でも検討している.しかし，反応条件が厳しいこと，フミンなどの未同定副生成物を生じやすいことなどの課題があり，水に代わる溶媒として， イオン液体やアルコール類などが検討されてい る.セルロースのアルコリシスに関しては，Deng らによってケギン型へテロポリ酸を触媒に用いてMethyl-glucopyranoside (MGP)を63 %収率で得たと報告された1).また，Chenらは，A12(S04)3 触媒がボールミル処理したセルロースからのレブリン酸メチル（ML)生成に有効であることを報告した.本研究では，水溶媒の研究で得られた知見をもとに，アルコール溶媒中におけるセルロースから低分子化合物へのアルコリシスのメ力ニズムおよび適する触媒開発を目的とした.